幸せ草
14/05/26 05:32
『ばあさんや、底冷えする季節になると、また足腰が痛くなるよ。』と
おじいさんのぼやきが始まりました。
おばあさんが言いました。
『おじいさんや、まだまだ例のお勤めがあるから、頑張っておくれよ』
『そうだな、わかった頑張って行って来るよ。』
そう言っておじいさんは今日も山から五キロ先の町まで歩いて行きました。
お勤めは、「人生の道先案内人」のお仕事でした。
駅の横に小さな小屋を作って、悩んでいる人の相談にのっていました。
ただ悩みを聞いてから、紙の小袋をあげるだけです。
それは、何年も前の事です。
家の窓に何かが当たる音がしたのです。
のぞいてみると、種が風に舞って降ってきたのでした。
その種を土に植えたら、白鷺のような花が咲く草がたくさん生えて来ました。
それから、我が家の悩み事がなくなりました。
『きっと神様からの授かり物だ!』
そう思ったおじいさんはその種を集めてお裾分けしていたのです。
村人からは、その草の種を
「幸せ草」と呼んでいました。
小さな幸せを
呼ぶ草
あなたの窓にも
降って来ますように。
合掌。
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