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生きる力になれば
by 星と地蔵
テールランプ
14/05/20 23:48
私は若い頃、1人ドライブを楽しんでいた時があった。
富士五湖のひとつだったと思う。

霧が深くなって前が見えなくなった。

帰り道が分からずぐるぐる湖を回っていた。

木の形で、同じ所を回っていたのに気づいた。

やっと抜け出て街道への道を見つけ
湖の霧の中を抜け出た。

あの怖い思いが記憶にインプットされた。


何十年後、仕事で毎日箱根の山を越え、


三島や御殿場、山梨へ行っていた。

天下の剣、国道1号線の日本一高い所が箱根。

そこは、時々深い霧が出る。


昔は山賊が出たという。
箱根の向こうには化け物が住んでいると言われてた。


旅人は怖い街道だっただろう。


この箱庭路を避けて、今の渋谷から出ている246号で

厚木、相模、松田、御殿場、沼津への迂回道を利用したに違いない。


しかし、鎌倉、江ノ島、藤沢、平塚大磯、小田原からのルートで元旦の大学駅伝のように
箱根を越えて行かなくてはならない人もいただろう。

私は若い時のあの苦い経験から毎日木の枝、道の幅、下る角度、曲がりくねりの数…

すべてをインプットしていた。


目をつむっても分かる程に。


夜中伊豆から三島経由で箱根路に登っていた。

みるみる深い霧に包まれ、一メートル先しか見えなくなった。

どの車も左側に停まって待機していた。

晴れる分けがなく、翌朝まで待たなくてはならない。

みんな焦っていた。

誰もが帰宅願望があるからだ。

私は警笛を鳴らし、右へ出て車を追い越して先頭に出た。

テールランプを点滅してゆっくり走り、後続車について来るよう合図した。


ぞろぞろ、各車両がゆっくりついて来た。

勿論、怖い人は動かなかったが。

何十台はついて来ていた。

危険な坂道は警笛鳴らして注意をした。

だんだんみんなも霧の中に慣れて来たようだった。

私は緊張した、大丈夫、合っている。
次は大きな枝の木があるはず、それを過ぎたら左カーブになる。

左ウインカーを出して知らせよう。

やはり左カーブだった。

右側に滝があるはずだ。

滝の音がしている。
間違いない。

何時間が過ぎた。湯河原の街明かりが見えて来た。

私はさあ好きに追い越して行け!

と手を振った。

皆、警笛鳴らして

お礼の合図して

追い越して行った

私は疲れた緊張を休めてから車を発車した。

まさか日頃の注意力がこんなに役立つとは思わなかった。

皆、僕のテールランプを目指して来た。


これからも、人生のテールランプになれたらいいなあ。


合掌



 




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